従業員持株会はある程度大きい会社では用意されていることの多い福利厚生制度のひとつです。
だいたいの持株会では自分が拠出(投資)する金額に会社が奨励金として上乗せで拠出してもらえます。
たとえば10%の奨励金が出る企業で月々10,000円の拠出(投資)をすると、毎月1,000円を会社が上乗せして11,000円を積み立ててくれるわけです。
奨励金のことを考えるとお得な制度なのですが、メリットとデメリットがあるので注意しましょう。
この記事では従業員持株会のメリット・デメリットを解説していきます。
持株会のメリット
○ 奨励金を会社が上乗せしてくれる!
○ 毎月給与から天引きで自動的に貯金してくれる!
○ ドルコスト平均法で平均買付単価を抑えられる!
○ 会社の業績に応じて利益が出るので、仕事へのモチベーションアップ!
奨励金を会社が上乗せしてくれる!
奨励金支給会社における奨励金の平均支給額は、前年度比 1.37 円増加して 82.27 円となった。
* 奨励金額:買付手数料や事務委託手数料に対する補助を除き、拠出金 1,000 円につき従業員持株会の制度実施会社から加入者に対し支給される金額。出典:株式会社東京証券取引所「2017年度従業員持株会状況調査結果の概要について」2018年10月22日
(https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/tvdivq0000001xhe-att/employee_2017.pdf)
毎月給与から天引きで自動的に貯金してくれる!
ドル・コスト平均法で平均買付金額を抑えられる!
仕事へのモチベーションアップ!
当然持株会の株価は自分の会社の業績に応じて上下します。
自分の努力によって業績を上げることができれば、自分の資産も同時に増えるということで仕事へのモチベーションが上がります。
持株会のデメリット
× 自分の会社への依存度が高くなる。
× 購入した株をすぐに売ることができない。
× 株主優待をもらえない。
自分の会社への依存度が高くなる。
投資の基本に「分散投資」というものがあり、一部の業界が傾くような出来事があっても自分の資産を守れるようにしておかなければなりません。
ですが、自分の貯金をすべて持株会に任せていると、自分の会社への依存度が極端に高くなってしまいます。
万が一会社が傾くと、職を失って月々の収入がなくなるだけでなく、自分の資産もなくなってしまうということになります。
持株会への極端な依存は危険であるといえます。
購入した株をすぐに売ることができない。
自分が在籍している会社の株はすぐに売ることができません。
今後の業績を知っての取引はインサイダー取引といって違法行為になるためです。
所属部署や役職によっては株の売却ができなくなる可能性もあります。
定年後に向けた長期的な積立には向いていますが、普段使いのお金を持株会に拠出するのは危険といえます。
株主優待をもらえない。
最近では多くの会社が株主優待を導入し、株主に様々な優待を用意していますが、基本的に持株会に株を持っていても株主優待はもらえません。
ただ、だいたいの会社では信託口座さえ開けば、100株単位等の単元で引き出すことができます。
引き出すことができれば、当然株主優待を受けることが可能です。
株主優待のある企業の持株会の方は、一定額まで積立が完了した時点で自分の信託口座に引き出して株主優待をもらうのがいいでしょう。
まとめ
奨励金の出る持株会はとてもお得かつ確実に積立を行える投資手法であります。
ただ、同時に自分の勤める会社への依存度が高くなる危険性もあり、会社の業績が傾いた場合にはとても危険です。
持株会への拠出(積立)金額は、奨励金を目当てに貯蓄すべてを回すのではなく、計画性を持って積立をしなければなりません。
たとえば貯蓄の半分は持株会ではなく、安定性のある定期貯金や自社の株価と相対傾向にある株を持つといった分散投資が大切になります。
奨励金は収入を増やす上でとても魅力的ですが、持株会への拠出に飛びつきすぎないように注意しましょう。